山 行 記 録

【平成12年11月18日(土)/カモシカコースから泉ガ岳】



雪に覆われる泉ガ岳山頂
この後5分も経たない内に吹雪き模様になった。



【メンバー】単独
【山行形態】冬山装備、日帰り
【山域】船形連峰
【山名と標高】泉ガ岳1,172m
【天候】晴れ曇りのち雪
【温泉】なし
【行程と参考コースタイム】
野外活動センター駐車場9:50〜岡沼10:30〜泉ガ岳11:10-11:15〜野外活動センター駐車場12:20

【概要】
大東岳と並んで仙台市民から親しまれているという泉ガ岳。以前から登りたいと考えていたのだが標高が1,172mしかなく足がなかなか向かなかったというのが正直なところ。今日の日本海側は朝から大荒れの天候で、強い冬型の気圧配置のため夕方からは平地でも初雪の予報が出ている。そのため太平洋側ならば少しは天候は良いだろうと、割合短時間で登れるという泉ガ岳に登ることにした。山頂までのコースは4本あり、そのなかでも一番登りがいのありそうなカモシカコースがよさそうである。登山口からの標高差は640m。しかしそれでも標準的なコースタイムは2時間前後である。

山形から宮城県に向かう途中の笹谷峠付近は強い雨降りだったものの、仙台市が近づくに連れて小雨模様となり、登山口に付く頃は青空も広がるようになってきていた。シーズン中ならば多くの登山者や観光客で賑わうと思われたが登山口の野外活動センター前の大きな駐車場はがら空きだった。私とほぼ同じ頃到着した車があり、その人は小さなザックを背負って早々と出発してゆく。登山者は私の他には一人だけだった。

泉ガ岳ロッジから目の前のスキー場をまっすぐに登って行く。ガイドブックにはどこを歩いてもよいとあったので勝手気ままに登った。登山リフトなのか3本あるリフトのうち1本だけが動いていた。リフトには誰も乗ってはおらず冬に備えての試運転かもしれなかった。登り付いたところは平坦な芝草が広がる兎平と呼ばれるところらしかった。枯れた芝草が辺り一帯に広がる景色は、静かで実にいい雰囲気が漂っていて、正面には泉ガ岳が大きく望まれた。ここはハイキングなどの多くの家族連れで賑わう場所なのかもしれなかった。樹林帯の中にはいるとやっと登山道らしい道になった。少し下ると岡沼と呼ばれる場所に出た。春先には雪解け水を集めて大沼になるらしかったが今は兎平のように枯れ草が広がっているだけである。岡沼付近には最近降ったであろう雪も所々に残っていた。

岡沼から樹林帯に入ると急登が続いた。葉はすっかり落ちているので割合に見通しがきく。空を見上げるといつのまにか薄雲が広がっていて青空は全くなくなっていた。この頃から風も強まってきたようだ。気温もだいぶ低く風は雪混じりになってきている。後ろを振り返ると視界がなくなりつつあった。今日はハイキング程度のコースと思ってのんびりと登る予定だったのだが、なかなかどうして登り甲斐のあるコースである。ほとんど休憩ができなかったこともあり、雪が降るような今日の寒さの中でも背中にはうっすらと汗も滲んできていた。

登るにしたがってだんだん風雪模様になった。この先2時間も3時間も要するようなコースならばたぶん引き返していただろうか。泉ガ岳はいくら太平洋側の山とはいってもやはり奥羽山脈の一角で、山頂付近の天候は日本海側と変わりがないようだった。山頂が近くなった頃、先に登っていた登山者が一人下ってくる。その人も山頂の天候が悪くてがっかりしていた。

左手から滑降コースと合流し、なおも急坂を登りきるとまもなく山頂だった。山頂は樹林がないだけに風雪も強く荒涼としていた。山頂は意外と広く近くには祠も祭られ、登山道が四方に伸びていてそれぞれに標識が立っている。ほとんど休まずに一気に登ってきたために喉がカラカラで、ザックを下ろして水だけを飲んだ。晴れていれば四方に広がる展望が楽しみだったがなにも見えなかった。またできれば帰りは水神コースを下って一周したかったのだが今日はそれどころではない。数分も立たないうちに吹雪き模様になってきたので雨具を着て身なりを固めそそくさと山頂を後にした。

少し下ると風は弱まりようやくホッと一息をつくことができた。先ほど登ってきた登山道はすっかり雪が降り積もってしまい真っ白になっている。一足早く下った登山者の足跡も全く見えなかった。登山道は一本道なので迷う心配はなかったが、風雪の中で視界がなくなると他に登山者がいないだけに不安だった。標高900m付近からは雪はみぞれ模様になり、岡沼まで下ってきたところで雨に変わりだした。振り返ると泉ガ岳は風雪のためにかすんで全く見えなくなっていた。


兎平からの泉ガ岳
つかの間の青空が広がる


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