山 行 記 録

【平成12年10月14日/朝日連峰 祝瓶山荘から祝瓶山】



山頂直下を下る(直進は小国町五味沢口)
この先の分岐を右に赤鼻尾根へ向かう



【メンバー】友人6名
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】祝瓶山 1417m
【天候】晴れ時々曇り
【温泉】長井市「桜湯」
【行程と参考コースタイム】
祝瓶山荘 8:00〜桑住平〜祝瓶山(昼食)10:40-11:25〜 赤鼻尾根分岐 12:15-12:40〜祝瓶山荘 14:00

【概要】
秋の祝瓶山はもうかれこれ20年以上続いている恒例の山行で、我が山の会の納会を兼ねている。
朝方まで降り続いた雨は長井を出発する頃はすっかり上がっていて、祝瓶山荘に着く頃は雲の切れ間から青空ものぞくようになっていた。さっそく山荘前の駐車場を出発して桑住平に向かう。付近の木々はまだ青々としていて紅葉にはまだ早かったが、少し背の高いブナの木は葉が少し黄色く色づき始めている。登山道から見上げる祝瓶山の山肌も全体に茶色に染まり、山頂付近はすでに紅葉が始まっている様子だった。桑住平を過ぎ、カクナラ沢、ヌルミ沢を渡るとすぐに急登が始まる。「これは空に駆け昇るといっても過言でない類稀な登山道である」(山形百山)と形容されたまさに尋常ではない急坂である。たちまち汗も流れたが夏とは違って爽やかな風が吹き渡る中の登りは実に快適だった。周囲の樹木も登るにしたがって徐々に色づきが増していった。途中ヤセ尾根から見上げる祝瓶山の山肌と周囲の紅葉と青空のコントラストが美しく目を見張った。2回ほど休憩をとったが今回はみんな体調がいいのかいつもよりもペースはだいぶ早い。山頂到着は予定よりも30分以上も早かった。

皮肉なことに山頂に到着したとたん、日本海側から急速にガスが流れてきてたちまち上空を覆ってしまい視界が遮られてしまった。日が遮られるてしまうと気温も下がり、また小雨も降り出してきてしまう始末。がっかりだったが昼食にはまだ早く腹もまだ空かないというので雨具を羽織りしばらく様子を見ることにした。非常に冷たい風が小国方面から吹き付ける。今にも雪が舞ってきそうな空模様でじっとしていると体も震えるほどだった。私たちの前に到着していた登山者も晴れないと判断したのかまもなく下山していった。

しかしまもなくして上空のガスが切れはじめると一瞬にして視界が広がった。こういった場面は結構感動的であきらめて塞いでいた気持ちがいっぺんに晴れ渡る。私たちは現金なもので陽射しも戻ると腹も空いてきて昼食をすることにした。しかしみんなは缶ビールを空けたものの寒さのためになかなか飲み干せないでいる様子だった。しばらくは他に登山者もいなくて静かな山頂だったがまもなく小国側から多数の登山者が登ってきてたちまちにぎやかになった。全部で20人以上はいるようだった。聞いてみると小国の基督学園高校の学級登山らしく、この寒さの中ジャージ姿で軽装なのに山登りの疲れなど感じさせないほどみんな元気な様子だ。山頂での楽しみにしていたのだろう。昼食後、何人かでタコ上げをはじめた。しかし強風のためになかなか舞い上がらないでいた。

下山は例年のとおり赤鼻尾根を下る周回コースをとることにした。山頂からの眺望も楽しみにしていたのだが小国の針生平や長井の木地山ダムなどは見渡せるものの、肝心の大朝日岳や飯豊連峰は厚い雲の中で、結局下山する頃になっても姿を見せなかった。

そそくさと山頂を後にして小国側に少し下る。そしてなにげなく見下ろして、前方の山のその輝くような紅葉の鮮やかさを目にしてみんな一様に驚いた。登ってきたときの東斜面はそれほどではなかったのだが、この北西斜面の紅葉は見事で言葉を失ってしまうほどである。東斜面も北西の斜面も同じ植生なのに、吹き付ける風の冷たさが違うのだろう。大陸からの季節風の厳しさを物語るかのようだ。祝瓶山の山頂付近で近年これほど美しい紅葉は久しぶりだった。また鈴振尾根との分岐から赤鼻尾根へ向かう登山道も、鮮やかすぎる紅葉のために全身が赤く染まってしまいそうなほどである。このまま標高を下げるのがもったいなくて、それこそ惜しみながら惜しみながら下った。


赤鼻尾根の分岐へ向かう途上で。
色鮮やかな紅葉は全身が赤く染まってしまいそうなほど。


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