山 行 記 録

【平成12年8月20日(日)〜21日(月)/北アルプス 西穂山荘から焼岳縦走】



西穂山荘とテン場
[2000.8.20撮影]



【メンバー】単独
【山行形態】テント泊夏山装備
【山域】北アルプス
【山名と標高】焼岳(2455.4m)
【天候】8月20日:晴れ(夜半より雨)21日:雨
【行程と参考コースタイム】
(8月20日)新穂高温泉−−(新穂高ロープウェイ)−−15:10西穂高口−−16:30西穂山荘(テント泊)
(8月21日)4:30西穂山荘−−7:00焼岳小屋−−8:15焼岳−−9:40中ノ湯温泉−−10:30中ノ湯(卜伝の湯)
中ノ湯==(松本電鉄バス2,100円)==松本==新宿==東京==赤湯==自宅着

【概要】
[2000.8.20]
裏銀座コースから笠ケ岳への縦走に引き続いての山行である。
観光客で溢れる新穂高ロープウェイの西穂高口を逃げ出すようにして登山口に向かう。ここから西穂山荘に向かう登山道は何回も歩き慣れている筈だったがよく考えてみれば冬山しかこのコースは歩いていないため夏道は初めてだった。途中に清水が湧いている水場があることなども初めて知った。
朝からずっと歩き通しで疲れがたまったのか、西穂山荘までは標準のコースタイムより少しよけいに時間がかかった。足が棒になりそうなほどで何回も途中休みながら登らなければならなかった。山荘に着いてザックを放り投げて銀マットの上で大の字になった。しばらく動けなかった。テントを設営してから山荘で生ビールを飲む。一瞬にして体に沁みて行くようだった。今日は1年分の汗をかいた気がした。



テントの中で一休み
[2000.8.20撮影]


西穂山荘の売店のメニュー
生ビールは冷えていておいしかった!
[2000.8.20撮影]


[2000.8.21]
翌日、未明からテントを叩く雨の音で目が覚めた。今まで毎日好天続きだったから雨もしょうがないかなあとあきらめた。
一度目を覚ますとなんとなく眠れなくなりそのまま起きる準備を始めた。今日は予定外のコースでガイドも何も読んでいなかったので地図だけが頼りである。今日中に山形まで戻ることを考えると少しでも早く出発したかった。雨は降ったり止んだりの状態を繰り返していた。4時半に西穂山荘を出発した。
西穂山荘から焼岳山荘までは大きなピークを4つ越してゆく。これは疲れている体にはかなりきつかった。
小雨が降ったり止んだりで樹林帯のため特に雨具は必要なかったのだが、途中から本格的な大降りになってきて雨具を着て歩いた。焼岳山荘は昔ながらの風情を漂わせた山小屋だった。焼岳の麓にひっそりと建っていた。別に宿泊している人がいる様子もなかった。今日はここまで誰とも会わなかったがこんな天候ではもっともかもしれなかった。
焼岳へはここから1時間ちょっとの登りである。天候は生憎の雨とガスで視界がほとんどない。硫黄臭の漂う登山道をペンキ印を頼りに山頂に向かった。普段なら何ということもない登りだったが今日はガレ場を休み休み登る。ザックは食材もほとんどなくなり軽くなったのに足が重かった。登り切ったところが鞍部になっていて中ノ湯への下降点にもなっていた。ザックを置き右の北峰に登る。地図によると三角点のある南方へは登山不可となっていた。付近の岩は硫黄で不気味に黄色く変色している。好天が戻ってくるのを少し期待していたが山頂でもガスは晴れなかった。雨も降り続いていた。写真だけ撮ってすぐに下山する。
中ノ湯への下山口から岩場の下りは少しの区間だけで、しばらくすると歩きやすい登山道にかわる。焼岳山荘からの登りは全体が不毛のガレ場といったイメージだが、この中ノ湯コースは上部まで草付の斜面が広がる緑のイメージで対称的だった。

標高2000mまで下った所で右に中ノ湯温泉、左に卜伝の湯の分岐の標識が立っていた。私は何の疑問もなく右の中ノ湯温泉にそのまま下った。しかし登山口に下りてからも記憶にあるバス停が見当たらないことに不審感が広がる。私は中ノ湯温泉の従業員に尋ねてみてその間違いにやっと気付いた始末だった。バス停が立つ登山口はさきほどの分岐から左に卜伝の湯の道を下らなければならなかったのだ。しかもその中ノ湯温泉への入浴は11時以降しかできないと断られる。おかげで「卜伝の湯」まで約1時間近くの車道を歩くはめになってしまった。分岐で地図を確認さえしていればこんなミスはなかったのに自分の愚かさにあきれるばかりだった。
ようやく本来のバス停に到着し、早速この国道のすぐ側に建つ「卜伝の湯」に入浴することにした。入口のドアは鍵が掛かっており、バス停向かいの売店に申し込んでから入るのだった。しかしこの「卜伝の湯」は岩をくり抜いただけの薄暗い洞窟のような温泉で、まさに度肝を抜かれるような”秘湯”ともいえる風呂であった。肝を冷やされつつも、4日間の汗をこの温泉で流してさっぱりして山形への帰路についた。


樹林の中にひっそりと佇む焼岳小屋
[2000.8.21撮影]


焼岳山頂
あいにくのガスと小雨の中で視界はなかった
[2000.8.21撮影]


中ノ湯への下降地点
ここから岩場を急下降する
[2000.8.21撮影]


中ノ湯温泉と卜伝の湯との分岐点(標高2000m地点)
ここで地図を広げていれば間違うこともなかったのだが・・・
[2000.8.21撮影]


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