山 行 記 録

【平成12年7月30日/飯豊連峰 石転ビ沢から梶川尾根】



盛夏 石転ビ沢 [2000.7.30撮影]



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備 日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】北股岳2024.9m
【天候】快晴
【温泉】梅花皮荘 500円
【行程と参考コースタイム、標高】
自宅−−天狗平(飯豊山荘前駐車場)
天狗平6:00(410m)−−温身平分岐点6:15−−砂防ダム6:25−−梶川の出合7:20−−石転ビ沢の出合7:45−−中ノ島9:30−−梅花皮小屋10:00(1850m)−−北股岳10:40-11:50(2025m)−−門内岳12:25(1887m)−−扇の地紙12:45-13:00−−五郎清水−−天狗平15:40(410m)

【概要】
[2000.7.30]
石転ビ沢は3週間前にも友人と登っているが、その後の状況を知りたくて早朝飯豊山荘まで車を飛ばした。今回は日程が取れないために日帰りである。7月の最終日曜日の今日は飯豊山荘前の駐車場は県内外からの車でいっぱいだった。天候もここ数日は暑い日が続いていて、今日も県内は35度を超える猛暑が予想されている。

ザックが軽いこともあって天狗平を快調に歩き出す。追い抜いた登山者はほとんど重荷を背負っている。夏道をしばらく進み滝沢の出合手前からは雪渓を歩いた。しかし雪渓はだいぶ崩壊していて危険な状態だった。もうこの付近の雪渓は今年は限界だろう。他の登山者はみな夏道を選び誰も後ろをついてこなかった。もう少しで梶川の出合というところで雪渓が分断されていて進めなくなり左岸に這いあがった。夏道に戻り梶川の出合に出る。ここも雪渓はだいぶ残ってはいるのだが崩壊が激しく危険個所が多い。梶川と梅花皮沢の分岐を覆っているスノーブリッジは一見すると雪面が広いのでまだ底が厚そうに見えるのだが、慎重に回り込んで伺うともういつ崩壊しても不思議でないほどに薄くなっている。梶川を飛び石伝いに渡渉して再び雪渓に上陸することにした。ここから続く雪渓はまだ分厚くて安心だが、石転ビの出合から泥流が川のような状態で続いているのを見て驚いた。最近の大雨で山腹が崩壊して流れ込んできたものだろうか。朝早い時間だったこともあり泥はまだ凍っている。この茶色の泥流は石転ビ沢のかなり上の方から続いていた。


梶川の出合のスノーブリッジ
非常に危険なため迂回する

石転ビ沢の出合から見上げると前回はガスがかかって稜線は全く見えなかったが、今日は快晴である。稜線上の梅花皮小屋が見えるほどだった。アイゼンを装着して雪渓を登り始める。背中からは真夏の強い日差しが照りつけたが雪渓の上は涼風が吹いていて快適な登りである。まさに天然のクーラーという感じだ。ときどき湿ったなま暖かい風が吹いてくるとメガネが曇った。北股沢の出合をすこし登った地点で、40〜50cmはあろうかという石が北股沢から落ちてきた。私の10〜15mぐらい下をものすごい早さで落ちていった。直後「落石!」と下を登ってくる登山者に叫ぶ。幸いに石は雪渓を横断して対岸に激突し、粉砕したようだった。みな急坂で立ち止まって成りゆきを見ていた。続く中ノ島は久しぶりの上陸だった。夏道といっても急斜面は変わらないのでたちまち呼吸が苦しくなり休み休みの登りが続いた。中ノ島からはわずかの残雪を登ると梅花皮小屋だ。


ニッコウキスゲと北股岳
梅花皮小屋付近から


北股岳の登りから見る梅花皮小屋と梅花皮岳



小屋の周辺では縦走中の登山者達が写真を撮ったり、昼寝をしたりそれぞれ思い思いに休憩をしていた。昼食の予定だったのだがまだ10時と早い時間だったので水場に立ち寄りペットボトルに水だけ詰めて北股岳に向かうことにした。北股岳の南斜面から西斜面にかけて飯豊の特産種のイイデリンドウやチシマギキョウ、クルマユリ、イブキトラノオなどの高山植物で溢れている。またニッコウキスゲのお花畑も一面に広がっていて、黄金色と白の残雪とのコントラストが美しかったが、良く見ると花は少し盛りを過ぎたようだった。


飯豊連峰の特産種、イイデリンドウ
北股岳の南斜面で。

気温はかなり高いはずだったがさすがに2000mの稜線を吹く風は爽やかで時の経つのも忘れるほどだった。北股岳では時間に余裕があったのでゆっくりと休憩と昼食を楽しんだ。北股岳から門内岳へと続く登山道は快適な稜線漫歩が楽しめるところ。ギルダ原付近から眺める門内岳は抜けるような青空を背景にして美しかった。空には巻雲も現れていて秋空のような爽やかな青空が広がっている。門内小屋にはソロ用のテントが一張りあったが人のいる気配はなかった。


ギルダ原付近からの門内岳
このあたりは快適な稜線漫歩が楽しめる。

梶川尾根への分岐点である扇の地紙で果物の缶詰を開けて少し休憩した。稜線を吹く風は爽やかとはいっても、風が途絶えると真夏の日差しは容赦なく全身に降り注いだ。水は十分確保していたが、飲んでもたちまち汗となって吹きだし、いくら飲んでも体に吸収しない感じだった。梶川峰付近から樹林帯に入るとひたすら下るだけだった。風がなくなると体が燃えるような感じで体力が奪われてゆくのを感じた。五郎清水では登山者が5〜6人休んでいた。水筒がちょうどカラになり清水を汲みに水場まで下る。岩から沁み出すような清水は手を切るほどに冷たい。バンダナを濡らして顔を拭い首筋を冷やした。


地神山の残雪とニッコウキスゲ
扇の地紙からの下山路で

そこからは風がほとんどなくなり、ただ黙々と天狗平を目指して下った。汗は顔や背中からばかりではなく腰や足など全身から吹き出してきていた。水筒の水もたちまち底をついてきた。やっとの思いで梶川尾根の登山口に降り立ち、まっすぐゲート脇から湯沢におりる。そして頭から水を浴びた。梅花皮荘の温泉から上がってもすぐには立ち上がれず、2時間ほど横になってから自宅に向かった。もしかしたら軽い熱射病にかかっていたのかもしれなかった。


梶川尾根の滝見場からみる石転ビ沢
ここから見ると急斜面がよくわかる


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