山 行 記 録

【平成12年6月17日/飯豊連峰 栂峰】



林道途中に車を停める(標高560m)
登山口までは林道をここから15分ほど歩く



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】栂峰 1,541m 
【天候】曇り
【温泉】西置賜郡飯豊町「フォレストいいで」300円
【行程及び参考コースタイム】
自宅 8:00発−飯豊町小屋集落−8:45 林道途中の駐車地点(標高560m)※長井から33km
9:00 駐車地点発(560m)〜9:15 登山口(林道終点)(650m)〜10:20-10:25 水場(1,150m)〜11:15 蔵王神社〜11:45-12:00 栂峰(1,541m)〜12:20-12:40 蔵王神社〜水場〜13:45 登山口〜14:00 駐車地点

【概要】
吾妻連峰と飯豊連峰のちょうど中間に位置する栂峰は一昨々年あたりから登ろう登ろうと予定していて先送りになっていた山である。梅雨の合間となった今日はあいにくの曇り空でパッとしない。午後からは一時雨も予想されていた。栂峰へは登山口からの標高差が約1000m近くもあり、またいろんなガイドブックにも往路は4時間前後を要するとあるので決して侮れない山である。

車は林道終点まで入れるらしかったが、右へのヘアピンカーブを過ぎると道路がかなり荒れていたために引き返し、途中の駐車スペースに停めることにした。車は他にはなく、周囲にも人気がなかった。小屋川の流れとヒグラシのかまびすしい鳴き声が聞こえるだけである。林道をしばらく歩くと砂防堰堤があり行き止まりになっていた。その手前から左手の沢を渡ると「栂峰登口」と書かれた登山口を示す標識がある。またその右手には薄暗い中に天照大神を祭ってある祠があって何とも幽玄な雰囲気だ。残雪は全く見当たらなく、すでに草木は伸び放題で登山道を塞いでいた。しかし少し先からは道の両側が刈り取られ、道ははっきりしている。雑草に混じって大きなワラビも生えていた。すぐに急な登りが始まり、杉の植林地をひたすら登る。今日は朝から黙っていても汗が流れるほどの蒸し暑さだったせいか、登り始めてからは体中から一挙に汗が噴き出した。やがて植林地を抜け、ヤセ尾根に出ると残雪が所々に現れるようになった。周囲はムラサキヤシオやタムシバが登山道に彩りを添えている。なだらかな道をトラバース気味に進むと左手から沢音が聞こえる。このコース唯一の水場らしくザックを下ろして一休みすることにした。水は細いが勢い良く流れており、その冷たい水で顔を洗うとやっと一息つくことができた。そこから先は再び急な登りである。次第に大きな残雪と共にりっばなブナ林が現れ始める。普通、ブナの木肌は白いのが多いのだがここのは黒々としたコケに覆われていていかにも太古からのブナ林のようで見事なたたずまいだ。途中、登山道の真ん中に御田神社の木札が立っていてびっくりするが、その先、栂峰の山頂まで様々な木札が続いていて、一種異様な雰囲気を感じながら歩く。

ほとんど残雪歩きが続くようになり、その間を縫って現れる夏道にはイワカガミやハクサンチドリが咲いていた。またその周囲にはマイズルソウの白い小さな花がびっしりだった。この付近では西側に飯豊連峰の一角が少し見えていたが、ガスがかかっていて飯豊本山や朝日連峰などの展望は望めそうもなかった。汗を拭き拭きやがて登り着いたピークが蔵王神社だ。草木が背丈以上に伸びていてここからの視界はない。飯森山を示す標識があったが足を踏み入れるまでもなくすでに廃道でヤブに覆われていた。ここからは県境稜線を歩くのだが道はほとんど雪に覆われていて夏道は所々に出ているだけだった。いったん鞍部まで下って100mほ どを登り返すと栂峰である。山頂手前で「ガンバレ!! 山頂迄10分。福岡かんだ猿」と書かれた標識が木に下がっていた。九州の福岡からわざわざこの栂峰まで来たのだろうか。あるいは単なる山岳会の名前なのだろうかと首を傾げる。そしてダケカンバやオオシラビソの樹林帯を登りつめると道がとぎれ、登山道がわからなくなった。付近はなだらかな一角で積雪は約1mぐらい。栂峰の山頂かと思ったのだがそのシンボルであるオオシラビソの大木と祠が見当たらない。しかしこの先には差し当たりピークはないようだった。付近をさまよったあげく、近くの倒木の中を半信半疑でのぞき込んでみると中に木札とろうそくが立っていて、またかろうじて2基の祠も見えた。山頂のシンボルがこうしてみるも無惨な姿になっているとはにわかには信じられなかった。このオオシラビソは初めは落雷でもあったのかと思ったのだが、焼けている様子もなく、どうやら大雪のために倒れたようだった。春先の湿った雪の重みに耐えきれなかったのだろう。あらためて今年の雪の多さを再確認する形になった。ここで昼食の予定だったがとてもそんな気にならなくて、軽く手を合わせて山頂を後にした。

蔵王神社まで戻ったところで腰を下ろして弁当を広げた。しかし汗をかいた体中に大量のハエやブヨがまとわりついて、とてもゆっくり食べるどころではなかった。そそくさと昼食を切り上げて下山を始めた。水場を過ぎる頃から雲行きがなんとなく怪しくなり薄暗くなってきた。登る際に見つけておいたワラビをひとつかみ採りながら、最後の急坂を下ると登山口だった。


登山口の標識
草木が伸びて登山道を塞いでいる


タムシバとムラサキヤシオが続く登山道
遠方に穏やかな山容の栂峰の一角が見える


 蔵王神社の木札と飯森山への標識。
栂峰の表示は間違い。


オオシラビソは大雪のため倒れていて栂峰の山頂にある祠は
倒れた枝に隠れて見えなかった。


倒れた木の枝の間から栂峰大神社の木札とろうそくが見える。


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