山 行 記 録

【平成12年6月3日/北蔵王連峰 白石スキー場から不忘山(復路は水引入道コース)】



水引平付近から見る不忘山(左)



【メンバー】友人(7名)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】南蔵王連峰
【山名と標高】不忘山1705m、南屏風岳1810m、水引入道 1656m
【天候】晴れ(快晴)
【行程と参考コースタイム】
白石スキー場 8:00(850m)〜白石女子高山小屋 8:30-9:10(990m)〜不忘山 11:00(1705m)〜南屏風岳(1810m)11:40-12:50〜屏風岳分岐 13:20(昼食休憩)〜水引入道 (1656m)13:40-13:50〜権現沢二俣〜白石スキー場 16:00

【概要】
南蔵王連峰でひときわ目立つ峻峰、不忘山へは個人的には刈田峠から3回ほど登っているが、今回の白石スキー場からは初めてのコースである。登山口にもなっているスキー場の広い駐車場にはすでに30台前後の車が留めてあり、あまりの多さに驚いた。このところ週末の天候が悪くて心配していたが今日は久しぶりの快晴である。山の緑と空の青さはもう夏山を感じさせた。

スキー場のゲレンデの左端を登って行くとまもなく白石女子高山小屋 が現れる。地図上ではここが水場となっていてメンバーのうち2人もここで水を補給するつもりでいた。しかし蛇口から出る水は滴る程度の水量しかなくて、先に来ていたグループがペットボトルに補給するのを長い間待たせられた。この先には途中、弘法清水があるがガイドブックには水は期待できないとあり、今日の行程を考えると水はここで補給するしかないように思われた。思わぬ足止めを食い、再出発したのは40分後である。小屋の裏手から視界がない樹林帯をしばらく登ると皮肉にも沢水が音を立てて流れていた。弘法清水はまだこの先のようだったが手を入れてみると雪解け水のために凍りそうなほど冷たい。水酌みのために待っていた時間はいったい何だったのだ、と一同悔やむ。そこから周りの景色はまだ見えないが歩きやすい道がしばらく続いた。タムシバ、ヤマザクラ、ムラサキヤシオツツジが登山道の両脇を彩り、足元にはショウジョウバカマ、シラネアオイが盛りだった。だんだんと樹林が切れてきて眺望もきくようになってくると時折吹く風が汗をかいた体に心地よかった。標高1300m付近からは急登が続いた。途中、雪渓が現れて一休み。そこから不忘の碑まではわずかな登りだった。

不忘山山頂では一気に展望が広がった。正面には朝日連峰を背景に南屏風岳から屏風岳への稜線。そして右に視線を移せば、水引入道が沢をはさんで向かい側に聳えている。振り返れば今歩いてきた不忘の碑と背後には白石市と広大な仙台平野が広がっていた。山頂では多くの登山者が休んでいた。昼食を食べている人もいる。我々は南屏風岳の予定なので記念写真を撮り山頂をあとにした。南屏風岳まではヤセ尾根の岩場を下り太い鎖がある急斜面を登り返す。この区間は高山植物も多く目を楽しませてくれるところだ。今の時期はハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、シラネアオイ、リュウキンカが盛りで、特に南西の斜面はお花畑ともいえるほど。小さな可憐な花も多く、名前がわからないのがもどかしかった。

南屏風岳に着く頃は薄雲が広がり、日差しが遮られたために肌寒くなりウインドブレーカーを羽織った。山頂ではビールで乾杯し昼食。周りでは他の登山者もそれぞれ思い思いに休憩している。飯豊連峰は雲に隠れて見えなかったものの、吾妻や朝日連峰を眺めながらの昼食は最高だった。私は食後エアーマットを敷いて昼寝を楽しんだ。出発する頃には日差しも戻り、気温もぐんぐん上昇してきていた。まだ残雪の残る刈田岳を前方に眺めながらなだらかな登山道を進み、正面に聳える屏風岳をめざす。山頂の手前に水引入道コースの分岐の標識が立っていて、我々は右手の道に進む。まっすぐに進めば芝草平を経由して刈田峠へのコースだ。分岐からは急坂を湿地帯の水引平まで下ると水引入道へ最後の登りが待っている。たいした標高差はないが疲れた足には少しこたえる登りだ。付近にはミネザクラやハクサンシャクナゲが多く目を楽しませくくれた。また水引平の小さな池塘にはモリアオガエルの卵を見つけた。

水引入道は狭いピークで登山者が三脚を立てて写真を撮っていた。たしかにここから眺める不忘山や雪庇を抱いた屏風岳、また大日向と呼ばれる岩場もあって撮影ポイントには事欠かないようだった。大日向の分岐からは尾根道をたどるジャンボリーコースとコガ沢沿いに下るルートに別れるが我々は沢沿いのコースを下ることにした。権現沢の二俣までは怒涛とも言えるような下りで一気に標高を下げる。その二俣はデブリによる雪と土砂の堆積が沢を塞いでいてルートが不明瞭だったが、対岸に細いロープが下がっており、そのロープを伝ってコガ沢右岸によじ登った。そこからはコガ沢沿いの登山道をアップダウンを繰り返しながら、樹林帯の中をしばらく歩いた。途中で出合った枝沢では冷たい水が豊富に流れていて小休止する。水場からも長い下山路が続く。やがて歩きにくい道にうんざりする頃、登山道はコガ沢から離れはじめ、沢音が遠のくと同時に白石スキー場のゲレンデに飛び出した。終点の駐車場まではここから10分くらいの距離だった。下山後は高畠町の鈴沼温泉の岩風呂(200円)に浸り、疲れ切った体を癒した。


白石スキー場の登山口からのスキー場
残雪などどこにも見当たらない。
日差しもすっかり夏空であった。


不忘の碑から硯石コースへの道が伸びている。


戦争末期に死亡した米軍パイロットの遭難慰霊碑「不忘の碑」
不忘山山頂(左奥)へはここから約15分ほど。


不忘山山頂
ここで昼食をしている登山者も多かったが
我々は南屏風岳(中央奥)までおあずけだ。


端麗な三角錐の不忘山(南屏風岳に向かう途中で)
この区間は高山植物が多い箇所だ。


ハクサンイチゲとハクサンコザクラ
不忘山と南屏風岳間で咲いている


屏風岳へ登る
山頂の手前に水引入道コースの分岐の標識が立っている


まだ残雪の残る刈田岳
(屏風岳への登りの途中で)


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