山 行 記 録

【平成12年5月6日〜7日/鳥海山 (吹浦コース)※七五三掛まで】



扇子森付近からみる鳥海山 [2000.5.7撮影]



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り(前日、鉾立駐車場にて車中泊)
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山 2336m ※七五三掛まで
【天候】曇りのち晴れ
【温泉】西川町 水沢温泉館 200円
【行程と参考コースタイム】
[2000.5.6]
◇八甲田山荘前 14:00  ◇秋田県象潟町 鳥海山鉾立駐車場 22:00(車中泊)
[2000.5.7]
◇6:00 駐車場(標高1050m地点)◇8:00 御浜小屋(1700m)◇9:30 七五三掛(1820m)◇10:15-10:45 御浜小屋◇11:15 駐車場

【概要】
前日まで八甲田山のテレマークスキーを楽しんだ後、まっすぐに戻るのはもったいなくて鳥海山に向かうことにした。八甲田山荘前の駐車場を6日の午後2時に出発。国道7号線を延々と南下して鳥海山の鉾立駐車場に到着したのは午後10時だった。途中の風呂や夕食の時間を差し引いてもずいぶんと時間がかかっている。(鳥海ブルーラインは凍結の恐れがあるために夕方5時から翌日9時まで通行止めになっていたが、道路の片側を通ることができた。)連休最後の日となる翌日の日曜日に備えてたくさんの車が停まっているだろうと期待していたが、鉾立山荘前には1台の車があるだけだった。その1台は山荘の管理人の車らしく、この広い駐車場に一人だけというのは内心心細いものがある。早々と車内にマットを敷いてシュラフにもぐりこんだ。外はもちろん真っ暗だったが月と星明かりで空が澄み切っていた。

[2000.5.7]
◇6:00 駐車場(標高1050m地点)
お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、前日に買い込んだ菓子パンで軽い朝食をとった。テルモスにお湯を入れ、ラーメンやコーヒーなどをザックに詰め込んで出発。吹浦コースといっても出発地点は鉾立山荘と大平山荘のちょうど中間にあたる、標高1050m地点からシールを貼って登り始める。駐車場は7〜8台ほどのスペースがあり、ワンボックスカー1台の隣にテントが一張り幕営中だった。天候はなんとなく靄がかかっていてすっきりしない。風が結構強く吹いていてジャケットを羽織った。これでは山頂付近はかなりの強風だろうと思われた。しかし思ったほど寒くはなく、雪原の上で冷気がほとんど感じられないのだから気温はだいぶ高いのかもしれなかった。ここは1年ぶりのコースだった。日本海を背にして一歩一歩急坂を登って行く。春の鳥海山は全山、無木立といっていいほどで雄大な大斜面が広がっている。下ってしまうのがもったいないというのはよくあるが、今日は登るのがもったいないような気持ちにさせられる。朝早いためか見渡しても人影が見当たらなく、鳥海山のひとりじめである。急斜面をシールを効かせながらぐいぐいと登って行く。ゆっくり登っていても息づかいが荒くなり頻繁に立ち止まって呼吸を整えた。登り始めはそれほどではなかったのだが、さすがに昨日までの疲れがたまっているようだ。日差しはないのに汗が顔面から滴り落ちた



日本海を背にして急坂を登る。
いたるところにツボ足やスキーのトレールがある。

◇8:00 御浜小屋(1700m)
小屋からは鳥海湖が見おろせるのだが、しかし今は一面真っ白の雪の下である。写真を撮っても面影すらわからない。
御浜小屋からは扇子森の1759mの小高いピークを越えて、いったん御田ケ原に100m余り下ってまた登り返す。小山を越せばそこは七五三掛(しめかけ)と呼ばれる所だが、もうそこは外輪山の一角でもある。このまま登れば山頂もまもなくである。
去年は御田ケ原から七五三掛までは地肌が出ていてスキーを担いだことを思い出したが、今年はもちろんまだ分厚い雪に覆われている。


◇9:30 七五三掛(1820m)
七五三掛から千蛇谷へ下るのだが、数日前の降雪のために大きな雪の裂け目ができていた。谷を見下ろすとまだ新しいデブリの跡がある。付近を見渡すと雪庇はほとんど崩落寸前といった状況である。例年ならばこの時期には雪はだいぶ締まっているはずだったが、今年は先日の50cm〜1m近い降雪が、その後の陽気でたちまち解け出して締まることもなく柔らかいままなのだ。

ここから下るのは危険だった。かといって、昨年と同じように外輪山をたどるのはどうも興味がわかず進む気持ちも湧いてこない。先週も鳥海に登っているからだろう。気を取り直して御田ケ原から千蛇谷の下流に下る地点まで戻ってみることにした。しかしここも状況は同じでやはり大きな雪の裂け目がいたるところにできていた。無事に下ったとしても今度はいつ千蛇谷への雪の崩落が襲ってくるかわからない。何人かのパーティやグループならば状況を確認しながらの行動も可能なのだろうが、結局ここが単独行動の限界だろうと判断し、今日は千蛇谷から山頂へのコースはあきらめることにした。


七五三掛付近からみる鳥海山山頂


千蛇谷に広がるデブリの後(七五三掛付近で)


雪の裂け目がいたるところにある(七五三掛付近で)
遠方は御浜小屋方面


◇10:15-10:45 御浜小屋
御浜小屋に戻ってみると小屋のまわりではこれから山頂をめざす人達が6〜7人程、休憩中だった。山スキーとツボ足の登山者が半々ぐらいか。しかしこの雪面をツボ足で歩くのは難儀そうでワカンが必要なほどである。風が相変わらず強く、小屋近くの岩陰で風を遮りながら早い昼食にした。途中で山頂は断念したとはいえ、日本海を背景に扇子森から稲倉岳を眺めながらの食事は気分がいい。思ったほど暑くはならないがかえって登山日和といえる天候だった。

小屋からはシールをはずして滑降を開始する。小屋から駐車場までの標高差は約650m。日本海を見下ろしながら、大斜面を自由に、大きく、そしてゆったりと回りながら下った。登ってくる人達が遠くに何人か見える。この鳥海山の大雪原の中では人間は豆粒みたいなものだった。少し日差しが強くなり始め、雪面からの照り返しも強くなってきた。


◇11:15 駐車場
駐車場には車が4台ほど朝、出発したときよりも増えていた。これから登る人達もいて登る準備をしている。まだ、正午前だが行動して約5時間。今日は八甲田山よりも疲れた気がした。ふくらはぎも痛いほどで前日までの疲れがたまっているようだった。帰路、西川町まで戻ってから温泉に浸かり連休の4日間の汗を流した。


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