山 行 記 録

【平成12年5月4日〜6日/北八甲田連峰 大岳、赤倉岳他】



残照に輝く大岳
明日こそは好天を期待できそうだ
酸ヶ湯温泉のテントサイトから[2000.5.5撮影]



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、酸ヶ湯温泉駐車場に幕営(山行は日帰り)
【山域】北八甲田連峰
【山名と標高】大岳 1585m
【天候】(4日)曇り&濃霧、(5日)曇り&濃霧、(6日)
【温泉】酸ヶ湯温泉 500円
【行程と参考コースタイム】
第1日目 酸ヶ湯温泉から大岳ピストン
   8:30 酸ヶ湯温泉発〜10:00-10:15 仙人岱ヒュッテ〜11:45 大岳手前(1560m地点)〜
   12:15-12:30 仙人岱ヒュッテ〜13:00 酸ヶ湯温泉
第2日目 酸ヶ湯温泉から大岳経由、大岳環状ルート
   7:50 酸ヶ湯温泉発〜9:05 仙人岱ヒュッテ〜9:50-10:50 大岳(1585m)〜12:20 酸ヶ湯温泉
第3日目 
(1)八甲田ロープウェイから箒場岱ルート(縦走)
   4:00 起床〜8:00 ゴンドラ始発に乗る〜8:20 ロープウェイ終点〜9:30-9:45 赤倉岳山頂〜
   10:45 箒場岱(バス停)〜11:00 バスで八甲田ロープウェイへ〜11:35 ロープウェイ着
(2)八甲田ロープウェイから八甲田温泉ルート(縦走)
   12:00 ロープウェイ終点〜13:00 八甲田温泉バス停前着〜13:10 バスで八甲田ロープウェイへ〜13:35 ロープウェイ着

【概要】
八甲田山へは今年の2月の連休にも出かけている。しかし吹雪のためにほとんど行動できず、酸ヶ湯温泉に一晩泊まっただけで引き返した。その後も再トライの機会を伺っていたのだがなかなかチャンスがなく冬山は過ぎ去っていた。
八甲田山連峰は北八甲田、南八甲田ともいくつかのピークの総称である。そのいずれのピークからもなだらかなスキー向きの斜面が広がっていて、特にこの時期は八甲田環状道路の除雪が完了するので8つの峰を起点に40におよぶコースが可能という、まさにテレマークスキーにふさわしい山域である。

[2000.5.4]
【天候】曇り&濃霧
(酸ヶ湯温泉から大岳ピストン)
3日の夜自宅を出発して、東北自動車道、長者原SAで仮眠。翌4日の夜明け前4時過ぎに再び走り出して酸ヶ湯温泉には8時に着いた。酸ヶ湯温泉が近付くにつれて、南八甲田連峰のなだらかな斜面が目の前に展開していて気持ちはおのずと高まってくる。しかし前方に見える北八甲田の主峰大岳はあいにく山頂付近は雲の中で見えなかった。

8:30 酸ヶ湯温泉発
酸ヶ湯温泉は溢れるほどの車、車、車。温泉から約100mほど先にある駐車場も既に満車状態。テントを設営しているものも多く20〜30張り前後はあるとみられ、さすがに連休のにぎわいである
上空には曇り空が広がっていたが、時間も早いので一応大岳をめざすことにした。登り口にはたしか大きな鳥居があった筈だと見渡してみると鳥居の頭だけがわずかに出ていて、ほとんど雪に埋もれていた。まだかなりの積雪量である。
しばらく続く平坦なダケカンバ林は快適なネイチャースキーコースである。これで天候が晴れれば文句はないのだが・・・・


地獄沢の雪渓を登る[2000.5.4撮影]



10:00-10:15 仙人岱ヒュッテ
ところどころにルート名と番号が書かれた赤い標識がある。この八甲田山が昔からツアーコースとして利用されてきたことがうかがえた。オオシラビソの樹林帯からいったん地獄沢に下りる。沢にも豊富な積雪があり、ここの雪渓歩きは一瞬、飯豊連峰の石転ビ沢を思い起こさせた。地獄沢の登り始めは視界がまだあったのだが仙人岱ヒュッテ付近はすっかり乳白色の中である。
かろうじて先人のトレールがあるのでまだ進むことができそうだったが環状ルート沿いにたててある竹の標識も見失いそうだった。
小屋の中ではたくさんの人達が休憩している。ほとんど山スキーでありツボ足での登山者は数えるほど。
木造のきれいな小屋の中に入ってコーヒーを飲んで体を温めた。

濃霧の中を出発する。先に小屋を出発した人達は大岳、硫黄岳、小岳めざしてそれぞれ散っていた。
大岳は5〜6年前の秋に登っており、その時の記憶をたよりに登って行く。竹の標識は大岳の裾野を回る大岳環状ルートである。
その途中から左手の斜面に取り付き、ジグザグに標高をあげてゆく。かなりの急斜面だが視界がないのでほとんど先が見えない。遠くに先を登っていると思われるグループの話し声が聞こえた。


木造の仙人岱ヒュッテ[2000.5.4撮影]



11:45 大岳手前(1560m地点)
小屋を出発してから1時間以上経っている。一面真っ白い雪に加え、ますますガスが濃くなっている。
急斜面が少しなだらかになりなんとか外輪山の一角にたどり着いたようだ。記憶では標識の立つ山頂はここからわずかのはずだった。
しかし、これ以上進むと自分のトレールさえもわからなくなりそうだった。天候が良ければ毛無岱にから酸ヶ湯温泉に戻るつもりだったが、3日間も滞在するのだから何も無理をすることもないな、と思い直す。今日はここを大岳の山頂と決めて引き返すことにした。

12:15-12:30 仙人岱ヒュッテ
ガスの中を自分のトレールをたよりに引き返した。晴れていれば大斜面の滑降がたのしみなところだったが、周りの状況が見えないというのはとても不安であり、テレマークを楽しむどころではなかった。ヒュッテ付近まで下がってくると少し視界が戻ってきた。これから登る夫婦連れの人とすれ違う。視界がないので地図をひろげて方角を確認していた。
ヒュッテに戻り昼食。そしてまた熱いコーヒーを入れて体を温めなおした。体が冷え切っていたようだ。

ヒュッテからの下りは標高差はわずかだがテレマークが楽しめる区間だった。ザラメ状態の雪面は快適で先ほどまでの塞いだ気持ちが晴れて行くようだった。

13:00 酸ヶ湯温泉
車をキャンプ場の駐車場に移動し、その一角にテントを設営。
酸ヶ湯温泉の千人風呂で今日の疲れをとった後は、早々とビールをあけて調理をしたり本を読んだりしながら午後のテント生活を楽しむ。その夜、明け方まで小雨が降り出してテントを叩いた。


[2000.5.5]
【天候】曇り&濃霧
(酸ヶ湯温泉から大岳環状ルート)(延長約10km)
7:50 酸ヶ湯温泉発
気を取り直しての2日目である。雨は上がっていたが霧雨が少し降っている。
しかし、テン場から眺めると大岳は雲に見えかくれしていて昨日よりは天候が良さそうだ。
予報も午後からは晴れるという。駐車場には朝早くから次々と車が登ってきていた。
仙人岱ヒュッテまでは昨日と同じコースをたどる。
山スキーの3人パーティが地獄沢源頭付近の岩場で休んでいた。

9:05 仙人岱ヒュッテ
小屋には入らずに手前の雪原で一休みしてから大岳の登りにかかる。先ほどの山スキーの3人が後ろを登ってきていた。
昨日は大岳の裾野を回る大岳環状ルートの途中から斜面をジグザグに登っていったが、今日は小屋から直接、尾根を直登していった。
見上げると山頂付近はやはりガスで見えなかったがそれでも昨日よりははるかに視界がある。


八甲田山(大岳)山頂
山頂に着いて一瞬晴れ間がのぞいたが、その後はあいにくガスの中で視界はない
[2000.5.5撮影]



9:50-10:50 大岳(1585m)
一部登山道は露出しているところもあって山頂近くで一休みしている人達も何人かいる。
スキーを履いているのでピークを回り込むようにしながら山頂に到着した。
山頂には雪はなかったがぬかるみ状態でうっかりすると足首まで潜りそうだった。石の上を選びながら歩かなければならなかった。
着いてから一瞬晴れ間がのぞいたので写真の機会を伺っていたが、その後はあいにくガスはなかなか晴れなかった。山頂には入れ替わり登山者が登ってきていた。急ぐ必要もないので晴れるのを待つことにしてコーヒータイム。しかし早い昼食にして時間をつぶすものの晴れる気配はなかった。体も冷えてきたために、山頂からの展望はあきらめて下山することにした。


素敵な丸太小屋の大岳避難小屋[2000.5.5撮影]


大岳避難小屋には毛無岱を経由して多くの山スキーヤーが
続々と登ってきていた。[2000.5.5撮影]



今日は予定どおり一気に大岳避難小屋まで滑り降りる。小屋の周辺では大勢の山スキーの人達でごったがえしている。
グループというより大団体だった。クロカンスキーもだいぶ目立つ。彼らは大岳の山頂コースではなく環状ルートをそのまま歩くのかもしれなかった。真西に沢沿いに進むと毛無岱に下るルートだが左手の大岳の斜面を回り込むように酸ヶ湯温泉へのコースへと滑って行く。潅木帯と急斜面があるがその後は緩斜面が続いていた。一面見渡せる広々とした斜面でコーヒータイム。このへんまで下がると視界もはっきりしてきて気温もだいぶ高くなってきていた。ここはこのコースのハイライトかもしれなかった。
その後もテレマークターンを優雅に楽しみながら下ってゆくと酸ヶ湯温泉の最後の急斜面に出た。


この急斜面が大岳循環コースの終点である
多くの観光客で賑わう酸ヶ湯温泉を見下ろす[2000.5.5撮影]



12:20 酸ヶ湯温泉
もう一度登って行けるような時間だったがもちろん体は疲れていた。
またまた温泉の千人風呂に浸る。疲れをとったあとは酸ヶ湯温泉で食材を買い込みビールで乾杯。2日目のキャンプ生活を楽しむ。


[2000.5.6]
【天候】快晴
(八甲田ロープウェイから箒場岱ルート)(延長7.5km 、上り1.2km 下り6.3km )
4:00 起床
朝、霜が降りてテントの外側が真っ白になった。朝方の冷え込みで目が覚める。
空には雲ひとつなく、大岳がまぶしい。3日目にしてやっと晴れそうである。
今日は最終日なのでゴンドラとシャトルバスを利用していろんなコースを楽しむことにした。
残っている食材を使って食事の準備。ちなみに餅、ネギ、キャベツ、ピーマン、ソーセージ、ゆで卵入りラーメンにキャベツ、ネギ入りみそ汁のスープと極めてヘルシーメニューである。それにコーヒーを淹れてテルモスをいっぱいにした。
ゴンドラは8時からである。5時に朝食を済ませたものだからテントを撤収してもまだ6時半だった。
待ちきれなくて車を八甲田ロープウェイ駐車場に移動。すでに5〜6台が留まってありみな準備をしている。

8:00 ゴンドラ始発に乗る


赤倉岳の山頂付近から
遠くに岩木山が浮かんで見える
手前はロープウェイの山頂駅がある田茂萢岳[2000.5.6撮影]



8:20 ロープウェイ終点
ゴンドラから吐き出されて外に出ると雪面が強い日差しに反射して眩しかった。ピーカンである。
振り返れば真っ青な空に白い岩木山が浮かんでいる。八甲田山に来てこんな天候は初めてだった。
ゴンドラは満員だったが赤倉岳に向かう者は3〜4人と少ない。
田茂萢岳からはいったん鞍部に下ったところでシールを貼り赤倉岳への登りに取り付く。左に進むと八甲田温泉へのルートが伸びていた。雪面にシールがしっかりと効き登りは快適だった。正面からの日差しが眩しく汗が噴き出した。

9:30-9:45 赤倉岳山頂
ガイドブックによるとこの時期は山頂付近に雪がなくスキーを担がなければならないとあったが、今年は大雪のためかまだ大量の雪が残っていてスキーを履いたまま山頂に到着した。昨日、一昨日の天候がウソのような快晴の中の360度の展望だった。3日目にしてやっと報われた思いだ。

シールをはがして滑降に移る。
井戸岳の東斜面を回り込むと箒場岱ルートを示す竹の標識が高田大岳の裾野へと伸びていた。
始発のゴンドラできたためか今はこの広い無木立の大斜面に誰も居なかった。ザラメ雪と最近降った新雪が交互に斜面を覆っていて、思わず足を取られてもんどりうった。全身雪まみれになったものの気持ちが良かった。
その後は高田大岳と雛岳の裾野を卷くように滑り、林間へのコースへと下っていった。雛岳の北面を回り込むとまもなく平坦な斜面になり推進滑降が必要だった。あたりはブナ林が広がっていて陽がさんさんと降り注ぎ、このまま下ってしまうのがもったいなくてコーヒーブレイク。太いブナの切り株に腰を掛けて、テルモスの熱いコーヒーを飲みながらの森林浴を楽しむ。


ここは井戸岳と八甲田山の中間地点
ここから箒場岱コースのロングコースが楽しめる
すっきりとした山容の高田大岳と雛岳[2000.5.6撮影]


箒場岱ルートは高田大岳と雛岳の裾野を縫うように続く
途中には標識があるので迷う心配はない[2000.5.6撮影]

10:45 箒場岱(バス停)
ゴールにはシャトルバス(市営バス)がすでに待っていた。長ければ30分から1時間ほど待たなければ、と考えていただけに
この時間帯であれば2本目のコースが悠々可能だった。
11:00 バスで八甲田ロープウェイへ
11:35 ロープウェイ着


(八甲田ロープウェイから八甲田温泉ルート)(延長約5.3km)
12:00 ロープウェイ終点
今日2本目のコースである。
このコースはほとんど登りらしい登りがなくシールも特に貼る必要もないことから山行とはほど遠く、ゲレンデスキーと同じである。
しかし、時間帯がちょうど昼食ということもあってかコース上にはほとんど人がいなくて、静かなネイチャースキーを楽しんだ。
田茂萢岳からは先ほどと同様に緩斜面を下り、赤倉岳への登り口で左手に進む。短い急斜面を一気に滑ると推進滑降が必要なところだったが、その後は以外と快適な斜面が続きテレマークを楽しめる。しかしスキーだと延長約5.3kmといってもあっというまだった。
林間を縫うように滑り込んで行くと環状道路が目の前だった。

13:00 八甲田温泉バス停前着
13:10 バスで八甲田ロープウェイへ
13:35 ロープウェイ着
駐車場は車が溢れており大勢の人達でごったがえしている。駐車場に入りきれなくて路上駐車している車も多かった。
さすがに2本のコースを終えるともう体はくたくただった。陽はまだ高かったがこれから7号線を下り自宅に向かわなければならない。そして途中、鳥海山を登ってから帰る予定である。汗を流してから出発したかったが渋滞に巻き込まれるのがいやで7号線に入るまで我慢することにした。


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