山 行 記 録

【平成12年4月30日/出羽山地 祓川山荘から鳥海山】



祓川山荘を出発し、歩き始める
すぐ近くに見えるが山頂は果てしなく遠い



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【天候】快晴
【温泉】猿倉口 湯ノ沢温泉 500円
【行程と参考コースタイム】
祓川キャンプ場の駐車場8:30−七ツ釜避難小屋9:50−七高山山頂11:20-12:20−祓川キャンプ場の駐車場13:20

【概要】
今回の鳥海山の祓川コースは昨年どうしても果たせなかったコースで、前々からこの時期を楽しみにしていたものである。秋田への日帰りのために朝4時に自宅を出発する。国道13号を北上して秋田県に入り、国道108号を本庄市に向かう。そして矢島町からは国道を離れ、一路祓川をめざす。祓川キャンプ場の駐車場に着いたときは8時を過ぎていた。自宅からはちょうど190kmだった。しかし祓川に着くと目前に立ちはだかるように聳える鳥海山がいきなり目に飛び込んでくる。豊富な雪を抱いたその端麗な姿はまさに神々しくちょっと言葉がでてこなかった。今日は昨日とはうってかわって朝から快晴。陽光に輝く鳥海山を目前にして長旅の疲れも忘れてしまいそうなほどである。

◇8:30 祓川キャンプ場の駐車場(1140m)(祓川山荘より標高約100m下にある) 

駐車場の前からすぐシールを貼り登り始める。しばらくすると小屋が右手に現れてこれが祓川山荘だと後で知った。キャンプ場の駐車場にも10数台車が停まってあったが、山荘の駐車場にはそれよりもはるかに多くの台数が停めてある。マイクロバスも数台駐車中だった。見上げると多くの登山者やスキー、スノーボーダーが山頂をめざして歩いている。しかし、この大斜面の前では登山者は豆粒ほどにも満たなく、蟻が這っているぐらいにしか見えなかった。


豊富な雪を抱いた鳥海山の全景
矢島町から祓川に向かう途中で撮影する


祓川キャンプ場の駐車場から鳥海山を仰ぎ見る


祓川山荘(中央奥)を振り返る


◇9:50 七ツ釜避難小屋(1560m)
小屋はほとんど雪に埋まっていて屋根だけを出していた。
ここはちょうど山頂までの中間地点のようだった。
若い人達が何人も休憩している。ほとんど山スキーをザックにくくりつけている。
この小屋直前も急斜面だったが、見上げるとさらに斜度がきついようだった。


雪に埋まっている七ツ釜避難小屋
ここまでもつらい登りだったが、ここからもますます急斜面が続く



急斜面を登る(標高1700m付近)
奥に日本海の水平線が見える

◇11:20-12:20 七高山山頂(2230m)

鳥海山は全体的に見た目以上に勾配があるのだが、とくに山頂直下の急斜面は特筆ものだ。シールの摩擦力を最大に働かせて直登をしばらく続けたが終点近くでは耐えきれずに斜めに登った。山スキーでここまで耐えてきた人もほとんどスキーをはずし、ザックにくくりつけたていた。今までの疲労も重なり、きつくて思わずあえぎ声がでてくるほどだった。2〜3歩登っては立ち止まり、また次の一歩を踏み出す。最後の方はその繰り返しだった。ふと気付くと風がパタリと止んでいる。汗が止めどなく流れた。日焼け止めクリームなどはとっくに流れ落ちたようだった。


やっとの思いで到着した山頂は大勢の登山者で賑わっていた。キャンプ場からだと標高差は1100m。祓川山荘からでも1000mはあるのだ。
皆、この鳥海山の長くつらい登りを耐えた開放感に浸っているようだった。七高山からは新山がすぐ目の前だ。一昨日の降雪のおかげで山肌は新雪で白く輝いており青い空とのコントラストがまぶしかった。その新山へは50mほど下り、また同じぐらい登り返す。新山はここより6m標高が高いのだ。スキーやザックを置いて何人か新山に向かうために急斜面を下っていった。外輪山の背後には真っ白い月山が青空に浮かんでいた。登りではほとんど無風だったが、山頂では適度にそよ風が吹いていて、汗をかいて火照った体に心地よかった。

山頂で1時間ほどのんびりと休憩してから大滑降を開始する。大斜面を下るのはそれだけで爽快だった。自分の足で稼いだ標高である。もったいなくてもったいなくて途中、何回も立ち止まっては自分のシュプールを振り返った。下山するのがもったいないような天候と景観だった。強い春の日差しにクラストした雪面も適度に融けていて滑りやすかった。これだとへたなテレマークターンも難なく決まる。春山の醍醐味である。しかし限りなく広く大きい斜面もスキーだとたちまちで、避難小屋から左手の広い谷に入って行き、祓川山荘も見えてくるとゴールも間もなくだった。


山頂でくつろぐ登山者達


新山山頂(七高山から)
七高山からは目の前だが標高は6mほど高い。


七高山と新山を往復する登山者(背景は月山)


新山をバックに(七高山山頂)

◇13:20 祓川キャンプ場の駐車場着

下山後、やはり鳥海山の登山口である猿倉口近くの湯ノ沢温泉(500円)で今日一日の疲れをとることにした。
温泉の窓からは鳥海山を真正面に眺めることができ、湯船に浸りながら今日の長かった行程を思い返していた。


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