山 行 記 録

【平成12年4月29日/北蔵王連峰 雁戸山】



蟻ノ戸渡りと 雁戸山(前山から)



【天候】曇り(強風)

【メンバー】単独

【参考コースタイム】
11:00 笹谷峠−12:25 八丁平への分岐−12:50 新山コースへの分岐 −13:15-13:30 雁戸山山頂−15:00 笹谷峠


【概要】
朝、目覚ましにたたき起こされて窓の外を見ると、昨夜からの雨がずっと降り続いていた。午後から快復するらしかったが朝から夕方のような薄暗さに包まれると気分はどうしても晴れない。そんな状態で朝5時に自宅を出て向かったのは朝日連峰の古寺鉱泉である。前日、大江町役場に問い合わせたところ、古寺地区から鉱泉までは雪のために車が入れないとのことだったが、そこは歩くつもりで大井沢から古寺に車を走らせた。しかし、例年にない大雪のうえに雨が降り続いていることなどから雪崩が妙に気に掛かり林道の途中で引き返す。そして次に向かったのは月山の姥沢口だったが、昨夜からの大雪のために志津温泉から全面通行止め。何でも先日稼働したばかりのリフトも雪で埋まってしまったとのことだった。春スキーを楽しみにしていた全国からのマイカーも足止めを食っていた。こんなことからやむを得ず山形自動車道から笹谷峠に向かうことにした。つまり今回の雁戸山は全くの成りゆきである。
GWの初日というのに出鼻をくじかれた格好だった。


◇11:00 笹谷峠(906m) ◇12:25 八丁平への分岐

スキーを使わない山歩きとしては今年初めてである。革製の登山靴のヒモを結ぶのもずいぶん久方振りだ。
笹谷峠に着いてみると雨は上がっていたが車も飛ばされそうなほどの強烈な風が吹いている。駐車場には3台の車が停車してあったが、準備をしているうちに皆下山してきた。時刻はまもなく11時になるところだった。

駐車場には雪は全くなかったが、歩き始めるとまもなく雪道となった。雨上がりとはいえ、結構雪が締まっていてワカンは必要ないようだった。始め数人の踏跡があったのだが八丁平への分岐付近からは1〜2名の踏跡しか見あたらなくなった。ほとんど途中で引き返したのだろうか。その新しい踏跡の主だと思われる登山者がカケスガ峰付近を山頂から下ってくるところだった。声をかけて雪の状況などを教えてもらった。


カケスガ峰(手前)と山形神室、大東岳の山々(前山から)



◇12:50 新山コースへの分岐

夏道では通らない前山のピークを経由して蟻ノ戸渡りの鞍部に着いたところでピッケルを抜く。
雪はあまりついていなかったが、ここから山頂までは核心ともいえる区間で慎重に登った。
風は相変わらず強く、飛ばされないように注意しなければならなかった。


◇13:15-13:30 雁戸山山頂(1485m)

山頂からは遮るもののない展望だ。北を見れば山形神室、仙台神室、大東岳。そして振り返れば南雁戸山が目前に迫る。2週間前に登った名号峰や熊野岳はあいにく雲の中だったが、たったいま歩いてきたばかりのカケスガ峰から前山、蟻ノ戸渡りへと続く稜線は雪を抱いて美しかった。腰を下ろして軽く行動食を口に入れながら小休止をする。
しかし風が冷たく、写真を撮るために手袋をはずすと手指の感覚がなくなってきそうだった。
ここより標高の高い朝日や月山では今日も雪が降っているらしく、この時期は冬山の装備は必需品である。


雁戸山山頂から俯瞰する蟻ノ戸渡りと前山(左奥)


雁戸山山頂から南雁戸山


雁戸山山頂で


下山路は快適な雪道歩き。広々とした雪原をどこを通ってもよいのだから楽しい。転がるように、また滑りながら下った。

今回の積雪期の雁戸山は初めてで、笹谷峠からだと雁戸山までの標高差は約600m。たいしたことはないのだが、雪があるというだけで充実感のある山歩きを楽しむことができた。夏道の場合、登り始めはほとんど樹林帯のなかで展望はないのだが、この時期は潅木や細い木は雪に埋もれているために視界がきき、常に周囲を見渡せるのだ。したがって風景も夏山とは全く違った感じで、これも残雪期の山歩きの楽しみのひとつである。
これで天候が晴れていれば文句無しの春山なのだが....と思いながら春の雁戸山を後にした。

◇15:00 笹谷峠


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