山 行 記 録

【平成12年4月2日/吾妻連峰 天元台〜西吾妻山〜西大顛〜白布温泉(若女平コース)】



西大顛山頂からの飯豊連峰
ちょっと左を見れば磐梯山も見える。ここは360度の展望台だ。


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西大巓1981m、西吾妻山2035m
【天候】晴れ
【温泉】白布温泉「かんぽの湯」510円
【行程と参考コースタイム】
◇7:00 自宅出発 ◇8:30 白布湯元駅 ◇9:30 リフト終点(北望台) ◇10:40 梵天岩  ◇11:10 西吾妻山 ◇12:40-13:10 西吾妻小屋(昼食) ◇14:30 若女平 ◇16:30 白布温泉   ◇白布温泉 かんぽの湯(510円)入浴    ◇19:00 自宅

【概要】
積雪期の若女平コースは約1年ぶり。昨年は3月中旬だったが今年の積雪はその頃に比べてもはるかに多いという印象だ。例によって白布温泉からゴンドラ、リフトと乗り継いで北望台から歩き始め、かもしか展望台を経由して梵天岩から西吾妻山、西大顛をめざす。西大顛の山頂で360度の展望を楽しんだ後、西吾妻小屋に戻り若女平を下って白布温泉に戻る行程である。
朝から移動性高気圧に覆われた今日は、一日の好天を約束されたようなものである。
そんな天候に誘われてか、天元台の駐車場はスキー客ですでに満杯で、白布温泉のずっと手前の駐車場に留めなければならなかった。天元台は4月に入ったばかりとはいえ、積雪はまだまだ多く、3〜4mはある。
北望台でシールを貼り登り始める。樹林帯に入る手前で振り返ると飯豊連峰や朝日連峰、月山、鳥海山。そして蔵王連峰などの峰峰が眼下に広がっている。しばらく登ると20人ほどの山スキーのグループに追いついた。
関東方面からのツアーらしく案内のガイドがコースの説明している。彼らは大沢コースを下るらしかった。


山スキーのグループが大沢コースをめざして出発していった
(かもしか展望台付近で)

◇10:40 梵天岩 

朝方冷え込んだためか、かもしか展望台から西吾妻付近の雪面はガリガリの状態。
アイスバーンでシールがききにくく急斜面はエッジをたてて横歩きで登らなければならなかった。
また風がめっぽう強く、頬が痛いほどだった。


◇11:10 西吾妻山

広い山頂はどこがピークかわからないが、ここから眺める烏帽子山から家形山、一切経山へのなだからな稜線が美しい。
小休止して西大顛へ向かおうとすると自分とは反対側から登山者がスノーシューで登ってきた。30歳前の若い人で、朝早く小野川湖から登ってきたとのことで、4時間半くらいでこの山頂に着いたらしかった。


たおやかな稜線の吾妻連峰
左から烏帽子山、家形山、一切経山(西吾妻の山頂付近で)


◇11:50-12:10 西大顛山頂  

西吾妻山からはいったん西吾妻小屋をめざして下る。西大顛への登り返しがあるのでシールはそのままだ。
斜面にはコースを塞ぐように大小様々の樹氷があってなかなか快適な滑りというわけにはゆかない。
堅い雪面を横滑りやキックターンを駆使しての下りだった。
西大顛手前の鞍部付近で山頂から下ってくる大勢の登山者とすれ違う。
山スキーの人達とスノーシューを利用した登山者が半々ぐらいだった。
最近はこのスノーシューがだいぶ目立つ。またスノーシューを履いている人はザックにスノーボードを背負っている者もいる。
風は少しも衰えを見せなくて、西大顛への急斜面の雪は強風にあおられて粉雪となり視界を遮る。さながら風雪ともいえるほどだった。青空は広がっていたが、風は冷たく皮膚の感覚がなくなるほどで体感温度は氷点下である。
午後にならないとこの風は収まりそうにもないようだった。


西大顛山頂から望む磐梯山
山頂は誰もいなかったが、下山する直前になって
デコ平からワカンをつけた登山者が4名ほど登ってきた。


西大顛(西吾妻小屋付近から)
近そうに見えるが、ここから100m余り下って登り返さなければならないので
西大顛への登りはかなりきつい。


雪にすっぽりと埋もれた西吾妻小屋
この付近はパウダースノーで踏跡のない新雪の上を歩くのは爽快。




今日は天候が良いので西吾妻か西大顛山頂からの展望を楽しみながら昼食をしたかったのだが
風はなかなか衰えを見せなく、しかたなく西吾妻小屋まで戻ってからすることにした。

小屋は雪にすっぽりと埋もれていて2階部分だけ雪面から見える。ハシゴを登って2階から入ると雪がだいぶ部屋の中まではいっており、冬季の厳しさを物語るようだった。2階では4・5人ほど食事中だったが、1階にも何人かいるらしくさかんに階下からは笑い声が聞こえ、にぎやかだった。

小屋で休憩をしていた人達は全部で15・6人ほどいたが、食事を終えるとみんなデコ平方面に向かって出発して行く。
若女平を下るのは誰もいなかった。
最初トレースが全然ないので若女平を下るのはあきらめるつもりだったが、1人分のスキーのトレースがかすかに残っていて
それをたよりに下っていった。若女平まではコースは沢沿いに下るのは覚えていたが、途中わかりずらい箇所が何カ所かあった記憶があり、少し不安だったのだ。

樹林帯の斜面をしばらく下ると風は弱まり気温も上昇し始めてきた。重い雪質のためかスキーのバランスを失い、若女平までは何回もころびながら雪まみれになる。さながら深雪との格闘といった感じだった。
試しにスキーをはずして雪の上に立つと太股まで潜るほど。深雪で転んだあと、起きあがるのは思いの外体力を消耗するので、そんなことを繰り返す内にだんだんと疲労がたまってゆくようだった。
若女平に着く頃は全身、雪だるまといった感じだったが、しかし不思議と気分はさわやかだった。
久しぶりに全力を出し切った壮快感というのだろうか。体は疲れていたが気分はいつになく軽かった。
ダケカンバの若女平を過ぎ、ブナ林の急斜面を下るとこのコースの核心部のヤセ尾根だ。昨年もここの通過に苦労をしたが今年は雪が多いだけに右側への雪庇も大きく、また左は雪崩がちょっと恐い。今回もスキーをかついで慎重に通過した。

カラマツやスギ林が現れると終点もまもなくだ。再びヤセ尾根と急斜面が現れて、またスキーを担いでツポ足で下る。
気温が上がり始めてからは雪はほとんど腐れ雪状態で、ツポ足では腰まで潜るほどだった。
転がるようにして急斜面をくだりながらやがて平坦な林道に出ると、若女平コースの終点である西吾妻スカイバレー(有料道路)の入り口も、もうまもなくだった。


下りの途中で見下ろす若女平(中央部分)


右側がスッパリと切れ落ちた馬の背部分である。
今年は右側への雪庇も大きく、また左は雪崩がこわい。
さすがにここはスキーをかついで慎重に通過した
このコース、最大の難所でもある


長い下りを終えてようやく到着した。
疲労困憊のため立っているのがやっと。
ここは若女平コースの登山口であり、
有料道路スカイバレーの入口にもなっている


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