山 行 記 録

【平成12年1月29日/裏磐梯スキー場から磐梯山へ】



やっと姿を現した磐梯山(中ノ湯から)



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】裏磐梯
【山名と標高】磐梯山(途中敗退)
【天候】曇りのち晴れ
【温泉】
喜多方市の道の駅「喜多の郷」 500
【行程と参考コースタイム】
10:30裏磐梯スキー場〜リフト終点〜銅沼〜中ノ湯〜14:00弘法清水小屋直下〜裏磐梯スキー場着16:00

【概要】
全国的に移動性高気圧に覆われた今日は朝から快晴が約束されたような日で、テレマーク日和のはずだったのだが、不思議なことに磐梯山だけはずっとぶ厚いレンズのような薄黒い雲に覆われていた。周囲は久しぶりの青空が見えているのだが、正午を過ぎてもなかなか雲が切れなかった。

朝、自宅を8時頃出発する。国道121号の大峠道路は圧雪のためスピードも出せなく、桧原湖が見えたときはもう10時を過ぎていた。今日の予定の磐梯山は行程も長いのでこれはヤバイなあと思わず不安が募ってくる。
登山口である福島県の裏磐梯スキー場はうるさい音楽もなく静かでいい雰囲気のスキー場だった。
リフトを2本乗り継いでリフト終点へ向かう。そこから銅沼(あかぬま)まではほとんど平坦な歩きである。数人のスキーのトレースもあって迷うこともなくほどなく銅沼につく。夏は赤茶けている銅沼も真冬の今は広大な雪原と化していた。前後には誰もいない。聞こえるのは自分のスキーの音だけである。ここからはシール登行の始まりだ。右手の斜面を登り広い平原に出る。付近は見事なダケカンバ林が広がっている。そのダケカンバの樹林帯をまっすぐに進み、やがて山腹を右に卷くようにして急斜面をジグザグに登って行くとまもなく中ノ湯だった。中ノ湯は青い屋根だけ見せていてひと気もなくひっそりと雪に埋まっている。付近には硫黄の匂いが漂っている。ここでトレースは二手に分かれていた。右は八方台へと続いており、左手のトレースは磐梯山に向かっている。一息を付いた後、雑木林を急登し尾根に取り付く。そこからはほとんど急登が続いた。
左斜面は絶壁で磐梯山の爆裂火口が荒々しく口をあけており、雪庇を踏み抜いたりすれば命は間違いなくなさそうだ。尾根沿いとはいえなるべく右斜面を歩くようにする。
12時半も過ぎた頃、眺めの良い場所で、テルモスとカステラ、ヨーグルトなどを出して昼食をする。桧原湖あたりは日差しが良さそうだったが、周囲はまだ日も射さず風も冷たかった。
雑木林の中は樹木が混み合っていて思うように進まない。それでもトレースがあるからまだ楽だったが2・3日前までの寒波で積雪は思いの外あって苦労した。もうそろそろ弘法小屋も近いはずだと思ってみあげると、稜線に弘法清水小屋まで1.1kmの標識を見つける。アップダウンを繰り返していると山スキーの先行者の2名が引き返してきた。状況を聞いてみると山頂どころか小屋までも行けなかったという。深雪のラッセルはやはり大変らしかった。

二人と別れてからなおも少し進むとやがてトレースが切れていた。先の二人はここで引き返したようだった。それからもひとりで少し登り続けたが、時間はすでに1時半を過ぎている。相変わらず天候がすっきりせず、晴れていれば山頂が間近に見えるはずだったが上の方は乳白色の濃いガスに覆われていて何も見えない。弘法清水小屋まではまだ1時間近く必要だと思うと今日はこの辺が限界と判断。引き返すことにした。久しぶりのきつい登りに太股やふくらはぎがパンパンだった。

本来ならここからシールをはずして楽しみな滑降の始まりなのだが、付近は急斜面の上、樹林が込み入っているために連続したターンなど私の技術ではとうてい無理な状況で、シールをつけたままもとのトレースをたどった。ところが、中ノ湯まで戻ったところで後ろを振り返ると皮肉なことに雲が切れだしてきて磐梯山が姿を現しはじめた。がっかりするばかりだったが、といって今更、山頂を目指して戻るわけにはゆかず、今日はこの風景で満足するしかなかった。全くこの時期の天候は予報どおりとは行かないことが多く、いまさらながら厳冬期のまっただ中なんだなあ、とあらためて思う。今度来るときはもっと早発ちするか、あるいはテントを担いでこようと思った。夏では見慣れた磐梯山も今は雪をまとって神々しいほどの美しさだった。三脚を立てて写真だけとってから中ノ湯を後にする。
銅沼までは短い急斜面をキックターンで慎重に下りる。空はすっかり雲がきれて櫛ガ峰と磐梯山を背景にダケカンバの平原が美しかった。氷結した銅沼まで下りていってつかの間の休憩を楽しむ。しかしすでに日が傾いてきていた。
帰路、いつものごとく喜多方市の道の駅「喜多の郷」(500円)に入り汗を流したが、予想していたよりはるかに体は疲れていたようで風呂から上がるとぐったりとしてしばらく動けなかった。

結果的に、今回は弘法清水小屋直前で敗退した格好になったが、銅沼から中ノ湯まではXCスキーやテレマークスキーの愛好家にとっては屈指のエリアだと思うのだが、中ノ湯から上部については雑木林が込みすぎていてとてもお勧めのコースとはいいがたい、というのが正直な感想である。


銅沼全景
この付近はXCスキーを楽しむには格好のエリアだ。



中ノ湯と桧原湖


櫛ガ峰と爆裂火口


遠くに見えるのが櫛ガ峰
山スキーでスノーハイキングを楽しんでいる


氷結した銅沼で櫛ガ峰をバックに


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